遠隔診断に適した動画像通信システム

システム概要

 遠隔地間のコミュニケーション支援の一環として動画像通信や画像通信が利用されている.そこで我々は,動画像通信を農作業支援に利用することに注目した.

 農作業において,病害虫による被害は大きな問題である.これは,同じ農作物はある程度まとまった面積で育てるため,全ての農作物を病害虫によって失うこともあるからである.この対策として農薬を用いた害虫防除がある.農薬には様々な種類があり,駆除できる病害虫が異なる.つまり病害虫による被害は,専門的な知識と迅速な対策が必要となる.

 農作業において,病害虫による被害は大きな問題である.これは,同じ農作物はある程度まとまった面積で育てるため,全ての農作物を病害虫によって失うこともあるからである.この対策として農薬を用いた害虫防除がある.農薬には様々な種類があり,駆除できる病害虫が異なる.つまり病害虫による被害は,専門的な知識と迅速な対策が必要となる.

 遠隔診断は,通常以下のような手順で進められる.

  1. 農作物全体の被害状況を観察する
  2. 注目領域を指定する
  3. 注目領域の細部を観察する
  4. 注目領域が複数ある場合②に戻る
  5. 適切な防除法を指導する

 遠隔診断では,まず農作物の全体を撮影した動画像(以下,全体画像)から被害状況を確認する.しかし全体画像のみの診断では,どの病害虫による被害かまでは特定できない.これは,農作物によっては被害状況が似ているからである.どの病害虫による被害であるかを特定するには,病害虫による被害部分(以下,注目領域)を拡大した動画像(以下,詳細画像)を転送する必要がある.また,注目領域が複数ある場合,全ての注目領域を観察する.これにより,専門家は農作物がどの病害虫により被害を受けているか特定できる.そして,適切な防除法を農作業者に伝える.しかし詳細画像で注目領域を診断している場合,専門家は農作物の全体像を把握できない.そのため,診断に不自由さを感じる.

 そこで本研究では,詳細画像による診断中に農作物の全体像を把握できる遠隔診断システム(以下,本システム)を開発した.本システムでは,一つのビデオストリームから詳細画像と全体画像の二つの動画像を利用できる.これにより,注目領域観察時の不自由さが軽減できる.