コマンドのダブルチェックを可能とする設定支援システム

システム概要

 ネットワーク管理者の業務には,ネットワークの設計,構築,運用管理がある. その中でも,ネットワークの運用管理には,作業の一つとしてネットワーク機器の設定変更作業がある. この設定変更作業では,設定現場にいるネットワーク管理者が作業手順書に基づいてネットワーク機器にコマンドを発行している. その際,設定ミスを防止するために,二人のネットワーク管理者が設定者と確認者に分かれ, 一つの作業手順書に基づいて発行するコマンドをダブルチェックしながら設定変更作業を実施している.

 しかし,二人のネットワーク管理者が地理的に離れた場所にいる場合,このような設定変更作業が実施できない. この場合,設定者は一人で設定変更作業を実施する必要があるが,確認者がコマンドを確認することができないため,発行するコマンドをダブルチェックできず, 誤ったコマンドを発行するおそれがある.誤ったコマンドの発行は設定ミスに繋がり,結果として,ネットワーク全体に障害をもたらす可能性がある.

 そこで本研究では,遠隔地間でネットワーク機器設定時のダブルチェックを可能とする設定支援システム(以下,本システム)を開発した. 本システムにより,地理的に離れた場所に二人のネットワーク管理者が居る場合に,発行するコマンドをダブルチェックしながら設定変更作業が実施できる.

 本システムは,ネットワーク機器設定におけるコマンドのダブルチェックを遠隔地間で可能とするシステムである. 本システムは設定者と確認者のタブレット端末とPC,作業情報管理サーバで構成される. 作業情報管理サーバは作業手順書の管理とWebページの提供,各クライアント端末の間の通信を中継する. タブレット端末には,作業手順書をWebページで表示する. 設定者のPCには,設定コンソールとチャット画面を専用のプログラムを用いて表示する. 確認者のPCにはコマンド確認画面とチャット画面をWebページを用いて表示する.

 設定者は作業手順書に基づいて設定コンソールにコマンドを入力する. 設定者が入力したコマンドは確認者のPCのコマンド確認画面に表示される.確認者はコマンド確認画面に表示されたコマンドを作業手順書に基づいて確認する. そして,そのコマンドの発行の許可・拒否を選択する.

 これにより,地理的に離れた場所に設定者と確認者が居る場合に,発行するコマンドをダブルチェックしながら設定変更作業が実施できる.